茨木のり子 “水の星”

宇宙の漆黒の闇のなかを
ひっそりまわる水の星
まわりには仲間もなく親戚もなく
まるで孤独な星なんだ


生まれてこのかた
なにに一番驚いたかと言えば
水一滴もこぼさずに廻る地球を
外からパチリと写した一枚の写真


こういうところに棲んでいましたか
これを見なかった昔のひととは
線引きできるほどの意識の差が出てくる筈なのに
みんなわりあいぼんやりしている


太陽からの距離がほどほどで
それで水がたっぷりと渦まくのであるらしい
中は火の玉だっていうのに
ありえない不思議 蒼い星


すさまじい洪水の記憶が残り
ノアの箱舟の伝説が生まれたのだろうけれど
善良な者たちだけが選ばれて積まれた船であったのに
子子孫孫のていたらくを見れば この言い伝えもいたって怪しい


軌道を逸れることもなく いまだ死の星にもならず
いのちの豊饒を抱えながら
どこかさびしげな 水の星
極小の一分子でもある人間が ゆえなくさびしいのもあたりまえで


あたりまえすぎることは言わないほうがいいのでしょう

砂田麻美監督『エンディングノート』

 素晴らしいドキュメンタリー映画でした。
 何よりも砂田知昭さんの生き様が美しい。人間は自分のことなど放棄して初めて強くなれるんだと改めて思いました。自分にこだわったり、自分に軸を置いている限り、生きることは苦しい。愛する人のために自分のことなど投げ出す本能が人生を豊かにするんだ。
 家族の視点でしか撮れない場面を丁寧に編集し、ユーモアを通してロマンチックに流されなかった監督の勁さにも敬服。
 本当に素晴らしいドキュメンタリー映画でした。観ながら泣いちゃったのは映画『アンヴィル』以来久しぶりのこと。
ハナレグミ “天国さん” → http://bit.ly/qc2Mh2

Steve Jobsさん、逝く。

 アラスカ、フェアバンクス。太陽のない季節。外はマイナス30度。大学を中退して間もない頃。真っ暗な山小屋で、MDに録音しておいたStanford大学での彼の講演を、ループしながら何十回と聴き続けた。
 彼の生の波動から励まされた経験は、私の人生に深く刻まれていて、今も問われ心さざめかされること度々。ご冥福をお祈りいたします。
http://bit.ly/Ez0pn

"When I was 17, I read a quote that went something like: "If you live each day as if it was your last, someday you'll most certainly be right." It made an impression on me, and since then, for the past 33 years, I have looked in the mirror every morning and asked myself: "If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?" And whenever the answer has been "No" for too many days in a row, I know I need to change something.

Remembering that I'll be dead soon is the most important tool I've ever encountered to help me make the big choices in life. Because almost everything — all external expectations, all pride, all fear of embarrassment or failure - these things just fall away in the face of death, leaving only what is truly important. Remembering that you are going to die is the best way I know to avoid the trap of thinking you have something to lose. You are already naked. There is no reason not to follow your heart." (Stanford Report, June 14, 2005より一部抜粋)

最高のバンド音楽のような仕事を。

博多百年蔵にてclammbonのコンサートに行く。
いいバントが懸命にいい音楽を奏でるように、いい仕事で悔いのない10年にしたい。

Rei Harakami - owari no kisetsu  → http://bit.ly/obBlR6