ある日の日記から

 生きているということは仕合せなことなんだと思う。生きている限りは哀しみも苦労もひっくるめて、ひっくり返して、仕合せにならなければならない。それが生きることの仕事だし、それを仕事にするんだ。そのためには心身ともに健康でなければならず、他人に対して心を開き、意志と勇気をもってやさしくなければならず、自分だけの仕合せを求めたところで幸せになれるわけもなく。
 自分だけの仕合せのために生きるわけでもなく、かといって、他人を幸せにすることなど自分にはできず。それでも何か、世界と他者と、生と死と、その間のなかで仕合せを求めて、いのちある限り、生きる。生ききる。