もうひとつの敗戦

 原子爆弾を落とされ放射能を浴びせられた群島が、66年後、自らつくりあげたシステムの崩壊により再び放射能を浴びる。なんという現実であるか。
 これはもうひとつの敗戦。己自身に負けたのだ。自然を軽んじ危機は管理できるという奢りの上に築いた自らのシステムに負けたのだ。恥じて恥じて恥じ入るしかない。考えるべきことを考えずに怠け、短絡的な思考を動力に目先のお金だけを追い回してきたシステムの果てに行き着いた結果(答え)がこの原発事故の有り様なのだ。
 かつてこの群島で暮らし、これからこの群島で暮らすであろう人々は、放射能汚染によって慣れ親しんだ土地や海から去らなければいけなくなったこの事態をどう見つめ、受けとめるだろうか。
 恥ずかしさがこみ上げてくる。