デッサン

 デッサンをはじめた。ひとつのモノを数時間、見ては描き、描いては見るという経験は何とも不思議。自分の目がいかに見えてないか、よくよく実感する。
 現実にあるモノを見て、線と点だけでそのモノのカタチと光を描き、平面の紙に落とし込むってやっぱり魔法だ。モノと自分との距離感や関係性、想い入れや描いているときの心のありようが、恥ずかしくなるぐらい紙に出てくる。
 そこにモノがあることの深遠さや質感の深さを見つめているととても怖くなる。と同時に、描く対象として他に何もいらないような気になる。飲み干した空き瓶ひとつ、そこに在るということと手にしたときの質感を、宇宙を、平面に描けたら捉えることができたら。