2010-01-01から1年間の記事一覧

古屋誠一写真展 『メモワール』(於:東写美2010年5月15日〜)

古屋誠一さんインタビュー 『写真は一つの言葉に触発されてさらなる言葉を発見する過程において、丁度その中間辺りに不安定な状態でぶら下がっているようなもの、新たな世界の認識への橋渡しをするメディアでもあると思います。人は必ず負の世界を自己の内に…

廣木隆一監督 映画『ヴァイブレータ』

悪くない。全然悪くない。いい映画、いいロードムービーだ。ときに独白のように、ときに俳句のように、言葉の文字が映像の隙間に挿入するのがいい。青山真治監督『ユリイカ』や是枝裕和監督『幻の光』が好きな人には、響くものがあると思う。 浜田真理子さん…

目指す仕事の方へ

鶴見良行さんと星野道夫さんの間のような仕事がしたい。畏れ多いことかもしれないが、20代初めに目指して以来、その気持ちに揺らぎはない。 まだはっきりと言葉にできないのだけれど、その仕事とは、アジア的つながりの中で日本をとらえ、世界の辺境として…

舟越桂さんを通してうまれた人間たち

渋谷文化村のレンピッカ展に行ったら、1階のギャラリーで有元利夫さんと舟越桂さんの版画が展示してあった。とてもとてもよかった。特に舟越さんの版画が、いまの私にはよく響いてきて、ずっと見いってしまった。6年前だったか、広島現代美術館で出逢った…

リズム

The Police "Every breath you take" http://www.youtube.com/watch?v=OMOGaugKpzs やっぱりこのリズムは心地いいよな、ジョナさん。

鶴見俊輔 『言い残しておくこと』より

本についている帯の言葉だけを見て、即買いしてしまった。忘れていたがとても大切な言葉であり、哲学であり、生きる姿勢である。今一度胸に刻んでおきたい。 『善人は弱いんだよ。善人として人に認められたいという考えは、私には全然ない。I AM WRONG.悪人…

ひとりDJ 「父性より母性をこそ」編

マッチョな父権的男も、まるで男になることを目指しているかのように、男的な仕事ばかりする女も大嫌いだ。そっちに未来ない。 ランディさんがパフォーミングしているおじさんにつっかかりながらも、ハワイのキラウェア火山に住む火の女神ペレのように、対峙…

負を正にかえる人間の力

憎しみは残ってしまったが、憎い人や憎む人はいない。 そんな健全な憎しみのカタチがあると思う。憎しみを、勇気と意志をもって、別のプラスの何かにすることはできるはずだ。それが人間の力だし、生きて時間を重ねていくことの醍醐味もそこにこそあると思う…

小林秀雄さん×岡潔さん『人間の建設』

133頁より 小林さん “芸術の歴史を見ると、いつでも立ちかえるという運動が見られますね。アンプレッショニスムという運動はなるほど新運動だが、やはりあれは一つの復古運動なのです。もういっぺん自然から出直せという主張でしょう。もういっぺん自然を…

生の経験のナマナマしさと創作

小林秀雄さんの講演録『本居宣長』の中で、経験と創作についてとても身に染みる言葉がある。 『あなた今、経験ってものが一番スゴいっておっしゃたっね。そっすと、要するに経験の生々しさだな、そういうふうなものにリアリティってものを一番感じるけども、…

映画『サマーウォーズ』

いい映画でした。ごっつぁんです!日本という場所からしか立ち上がらない映画、風土がぷんぷんしました!アニメーションだけど、土地の匂いがして素敵な作品。いい仕事だ! 家族!一緒にご飯を食べること!人生はきっびしいから、ひとりじゃなく、家族で腹ご…

鷲田清一 『「待つ」ということ』 

待つことは命がけの行為であり、究極の能動的行為だ。たとえ努力し精進したとしても、人間の分際ではやはり待つことしかできないのではないか。 生きることの根本に、待つという究極的行為は絶えず潜んでいる。その「待つ」に自覚的でありたい。 “・・・ひと…

鶴見俊輔『脱走の話』より

『同志社をやめることにしました。しかし、やめることが、よいことだという自信をもってやめるのではありません。悪いことだが、自分にとっては、やめないことよりも、よいことだと思うので、やめるのです。 悪いというのは、私が親しくして来た人たちにたい…

東京で暮らす最後の月、三月。そして歩く。

東京に来て二年が経った。三月で東京を離れようと思う。まずは、今の仕事を最後まできっちりやり終えること。 四月からしばらく旅に出る。スペインの巡礼道を歩き、日本に戻ってから四国を歩こうと思う。三〇歳になる前に歩けるだけ歩く。とにかく歩こう。二…

詩人まどみちおさん NHKスペシャルより

◆息子さんを亡くされたときを回想しながらの言葉 “私は何も助けてやることができなくて あれ向こうにいってしまったんです。 最後的には泣いとるだけです。 「命」っていう言葉を人間が持っているのが その言葉を持っとるのが救いみたいな気がします。 「命…

失敗やミスをした後にこそ、そいつの(自分の)人間性が出る。

失敗やミスをしたときこそ、自分の人間性が試されていると思っている。ミスをしたことを相手の所為にするのか、しっかり受けとめた上で相手にも納得いく形で着地点を見いだす努力ができるのか、そこにそいつの(自分の)人間性のすべてが出る。上手くいって…

仲良くする哲学

人が人と仲良くすることほど大事なことはないと思っている。“なかよしこのよし”の幻想からそう思うのではなく、自分の経験からそう思うのだ。 人に暴力をふるうことほど虚しいものはない。時が経ち事情が変わると、殴っていた者が殴られる側になり、殴られた…

くるり“魂のゆくえ”

最近ずっとくるりのアルバム“魂のゆくえ”を聴いている。とてもとてもいい。一曲一曲もいいけど、アルバム全体の流れがちゃんとあって、一曲一曲が共鳴し合っていて、すごい深みになっている。何度聴いても飽きがこない。すごいいい仕事をしていると思う。尊…

ある日の日記から

生きているということは仕合せなことなんだと思う。生きている限りは哀しみも苦労もひっくるめて、ひっくり返して、仕合せにならなければならない。それが生きることの仕事だし、それを仕事にするんだ。そのためには心身ともに健康でなければならず、他人に…

30歳、人生という円の折り返し地点

自分の勝手な想像かもしれないけれど、30歳は人生が描く円の折り返し地点だと思っている。 30歳以降に歩む道は、自分がかつて歩いた道が前にひろがっていて、それは戻っていく道で、同じ道を逆から歩いていくのだけど、時間の経過と自分が別の人間になっ…

子ども時代

小学四年生ぐらいの自分と今の自分が会ったら、子どもの自分は今の自分に憧れたりするだろうか。想像しても答えはもちろん見つからないのだけれど、今と自分を照射するひとつの光にはなる。 せめて正直に生きよう。いつ偶然に出会ったとしても、子ども時代の…

仕事

いい仕事がしたい。誰も傷つけず、携わった人みんなが、苦しみや大変さもひっくるめて最後は笑顔になれる仕事、そしてそれを受けとる人も元気になる仕事。そんな仕事がしたい。 それは、仕事の中身が問題なのではなく、自分の仕事のスタンスややり方の問題だ…

人生の鉄則

保坂和志 『小説、世界を奏でる音楽』297頁より “・・・実加の周囲の人たちは、基本的に全員が“野心”といういままで文学がさんざん取り上げてきた、自我や能動性を疑わない、一本調子で、自分の社会的成功のためには家族も親友も犠牲にすることを辞さない(…

宝満山と空海

二〇一〇年元旦。宝満山山頂に登る。やはりこの山で弘法大師も修行していたみたい。 元旦、この山を登ることから始めなければ気がすまなかった。いつの頃からか、悩んだときや気が鎮まらないとき、この山へ登る習慣がついていた。空海さんゆかりの山が故郷の…

時間の厚み その2

時間の厚みということを最近よく考えている。モノとの付き合いにしても長く大切に使えば使うほど、愛着がわく。愛着がわくことを突き詰めていくと、そのモノの存在に私とモノとの関係性の時間が反映されていて、そこには代替のきかない固有性があり、それが…